トートバッグを通じて、世界に感動を広げ、社会をよりよくするメディアであり続けたい。
そんな思いを胸に、トートバッグ専門ブランドROOTOTE(ルートート)は、地域活性化の想いをつなぐメディアとして、さまざまな地域とのコラボレーションを行っています。
今回ご紹介するのは、群馬県・太田市との取り組み。
2021年に地域の商店や企業のスポンサーを募り制作した太田市美術館・図書館の「ライブラリートート」を皮切りに、読書を愛する人々の輪を広げる「本とトートでつながルー プロジェクト」が始まりました。その後、太田市を拠点とするバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」とのコラボレーションや、2025年に迎えた太田市20周年を記念したオリジナルトートバッグなど、ROOTOTEはトートバッグというメディアを通じて、地域の魅力発信や人と人とのつながりづくりをお手伝いさせていただいています。

太田市美術館・図書館の絵本・児童書コーナーと「ライブラリートート」
トートバッグは普段使いでき、生活に自然に溶け込むシンプルなアイテムだからこそ、地域への想いを乗せることができます。太田市との取り組みを通じて見えてきた、地域づくりのメディアとしてのROOTOTEの可能性について、ホールセールス事業部の土井康幸さんにお話を伺いました。

ホールセールス事業部 土井 康幸
市民参加のライブラリートートが、地域コミュニティを生み出す
「本とトートでつながルー プロジェクト」
ーー太田市で実施された「本とトートでつながルー プロジェクト」のはじまりは、社内で行われた研修だったとか。
土井:はい。2021年に行われた、ブランドの世界観をアップデートすることを目的に、それぞれの想いや価値観を共有する社内のワークショップ型研修が始まりでした。
その研修プログラムの中で、本好きのメンバー5人がチームを組み、多様性やサステナビリティをテーマに議論を重ねました。そして「ライブラリートート」を企画し、読書文化を応援するとともに、地域のコミュニケーションを活性化する「本とトートでつながルー プロジェクト」のアイデアが生まれました。

社内有志で行われたワークショップ型研修の様子。
ーー研修から生まれた「本とトートでつながルー プロジェクト」を、なぜ太田市で実施することになったのでしょう?
土井:僕の前職の同僚が移住してまちづくりに関わっていたことから、もともと縁のあるまちだったのがきっかけです。
加えて、地域活性化事業に補助金が交付される「おおたシティプロモーション認定事業」や、多彩な美術作品や図書を通して地域づくりを推進する「太田市美術館・図書館」の取り組みがあったことも大きな要因でしたし、日本有数の工業都市である太田市の方々なら、ものづくりを通してと人と人がつながる「本とトートでつながループロジェクト」にきっと関心を持ってくださるのではないかと考えました。
結果的に「おおたシティプロモーション認定事業」として採択され、太田市美術館・図書館の「ライブラリートート」を制作。太田市を愛するコミュニティを活性化するプロジェクトがはじまりました。

太田市美術館・図書館とROOTOTEとの打ち合わせ。
地域への想いを醸成するため、つくるプロセスとデザインにこだわる
ーー「本とトートでつながルー プロジェクト」のユニークな点のひとつは、地域の企業・商店からスポンサーを募る仕組みではないでしょうか。
土井:ぼくたちの目的は、ライブラリートートを作成するだけではなくて、地域の方が使ってくださることで、太田市を愛する気持ちを醸成する一助となること。それならば、つくるプロセスから市民と地域の方と進めていくことが大切だと考えました。トートバッグを応援するスポンサーになっていただくことで、太田市を応援するコミュニティが生まれるといいと思ったんです。
市が広報誌で紹介してくださったり、太田市を応援してくれそうだと感じた店舗に私たちが飛び込みでご案内して、コミュニティFMや、飲食店・雑貨屋さんなど、全部で18件のスポンサーが集まってくださいました。

プロジェクトに賛同してくれたスポンサーのロゴがデザインに。
ーー様々なロゴが入っても、広告感が出すぎないシンプルなデザインが印象的ですね。
土井:「たくさんのロゴが入ると、まとまらないかも」と心配したのですが、社内のデザイナーが工夫し普段使いできるデザインに仕上げてくれたんです。色は明るい発色のブルーとレッドです。太田市美術館・図書館のご担当者と打ち合わせを重ね、世界各国の絵本を数多く所蔵している図書館にふさわしく、大人だけではなく子どもも持ちたくなるデザインを目指しました。
急な雨でも本が濡れないよう撥水加工の生地を使用し、単行本や文庫本にぴったりのポケットなど、ライブラリートートとしての機能性にもこだわっています。「利用者さんが図書カードを忘れてしまうことがある」というエピソードから、図書カード用の収納ポケットも付けています。

出し入れの多い小物のためのオリジナルポケット『ルーポケット』を必ず付けている。
市民の方に実際に使ってもらうことで、「私も同じトートを持っている!」という共通体験が生まれ、太田市美術館・図書館を中心としたコミュニティや、まちへの愛着が自然と深まっていくのではないかと考えています。だからこそ、毎日使ってもらえる機能性と、洗練されたデザインを備えたアイテムにすることが大事だと思ったんです。
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“よそ者”がかかわることで、さらに見えてくる地域の魅力がある
ーー「ライブラリートート」を配布して、市民の方からどんな反響があったのでしょうか?
土井:モニター配布の200枚はあっという間に無くなり、アンケート回答でも約95%の方が「満足・ほぼ満足」と答えてくださいました。うれしかったのは「このトートが家に置いてあると、子どもが図書館に行きたがる」というコメント。「図書館に行く」という行動を促すモチベーションになるアイテムを作れたのだと感激しました。

ーー1年目の好評を受けて、2年目に実施された「本とトートでつながルー プロジェクト」は、事業規模がスケールアップしましたね。
土井:2年目は市内の図書館5館と連携して、館ごとに色とマークを変化させたトートを作成しました。太田市は、もともと尾島町、新田町、藪塚本町と合併したので、市民の方が地域を語る主語は市ではなくて、町が多い。なので、町ごとに設置された図書館でより地域の文化や誇りを乗せたライブラリートートをつくろうと考えました。
デザインの打ち合わせで地域の図書館に伺うたびに、地域や歴史のことを図書館の職員さんに教えていただきました。ライブラリートートをつくる過程で、僕たちも太田市の魅力を知る機会になったんです。

市内5館の図書館で作成したライブラリートート。色とそれぞれのマークが異なる。
ーー地元のことをほとんど知らない企業だったからこそ、様々なお話を聞かせていただくことができたのかもしれないですね。
土井:スポンサーを探すときなど、シティプロモーションはもともと地域に根付いた企業が手がける方がスムーズに進むと感じることもありました。でも、東京からやってきて、何も知らない僕たちが「こんにちは」と伺うことで、聞かせてもらえるお話もある。よそ者がかかわることで、まちの人には自明すぎて気づかなかった魅力が見えてくることもあるのかもしれない。それは、地域に関わるお仕事をさせてもらうときに、今後も大切にしていきたい姿勢だと感じています。

太田市美術館・図書館で配布の模様。一部の図書館では当日中に全数配布が終了した。
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トートバッグは生活になじむモノだからこそ、地域や人の想いを伝えられる
――「本とトートでつながルー プロジェクト」終了後も、太田市との取り組みが続いていますね。
土井:「おおたシティプロモーション認定事業」は終了し、「本とトートでつながルー プロジェクト」は一旦お休みになりましたが、その後も太田市の方と連絡を取り続けさせていただいています。太田市のバスケットボールチーム「群馬クレインサンダーズ」とのコラボレーションや、今年3月には太田市20周年記念として、新たに生まれたキャラクター「ネオタ」をプリントしたトートバッグを作成しました。

「群馬クレインサンダーズ」とのコラボレーショントート

群馬県太田市のキャラクター「ネオタ」をプリントした、太田市20周年記念トート。
20周年記念式典は圧巻でした。「群馬クレインサンダーズ」のホームタウンアリーナである「OPEN HOUSE ARENA OTA」で全国から集まった2600人が第九を歌う。トートバッグは、第九の参加者に配られて、会場でも販売されていました。大きい会場でみなさんがROOTOTEを持っているのは誇らしかったです。

アリーナに第九が響きわたる、20周年記念式典の様子。
ーー太田市との取り組みを通じて、トートバッグが地域活性化のメディアとなる可能性を感じたとか。
土井:地域活動をされている方から「地域の魅力をどう発信していけばいいのか、難しい」という声を聞くことがあります。日常使いできて、想いを乗せたトートバッグは、人の生活にすっと入りこみ、「ライブラリートートで図書館に行こう」と、行動を変化させることができる。ベーシックでシンプルなモノだからこそ、工夫次第で想いをのせられる。トートバッグは、可能性に満ちた最強のメディアになると思いました。
ーーこれからどんな商品やコラボレーションに携わりたいと思っていますか?
土井:人の想いが、使う人のニーズに合致したトートバッグをつくりたいです。
私は普段、アートやデザイン分野の商品販売や、アーティストとのコラボレーションなどを担当していますが、何より大切にしているのは人との関わりです。ものづくりは、良いことも悪いことも含めて濃密なコミュニケーションが欠かせません。そのコミュニケーションがあるからこそ、想いが乗った商品を生みだすことができます。
「ライブラリートート」も、太田市民の方やスポンサー、自治体や図書館のみなさんなど、地域のさまざまな方々と出会い、太田市を愛する魂が載ったアイテムになりました。そういうものは長く愛され続けますよね。これからも、いろんな人とコミュニケーションを大事にしながら、人の想いを未来へと繋ぐことができるトートバッグをつくり続けていきたいと思います。
Text by Shino Arata
群馬県太田市について
太田市は、平成17年3月28日に太田市、尾島町、新田町、藪塚本町が合併し、人口22万人を超える新市として誕生しました。利根川と渡良瀬川の水の恵みと、金山八王子丘陵の豊かな緑を有し、古来より歴史と文化にはぐくまれてきました。東毛の中核都市として発展を遂げ、平成19年4月から特例市として更なる飛躍を目指し、新たな一歩を踏み出しています。
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■ROOTOTE(ルートート)について
2001年の誕生以来、「Fun Outing!~楽しいお出かけ!~」をお届けしているトートバッグ専門ブランド。目印はRマークのブランドタグ。カンガルーのおなかの袋からヒントを得た「ルーポケット」がアイデンティティです。ひとりひとりの個性や価値観を大切にしながら、お気に入りが見つかる豊富なデザインバリエーションを提案しています。
ROOTOTEはトートバッグを通じて世界に感動を広げ、社会をより良くするメディアであり続けることをミッションに、アート、エコ、カルチャーなど、さまざまな分野でコラボレーションやプロジェクトを展開。世界一のトートバッグブランドを目指しています。
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