トート・アズ・キャンバス アート&デザインアワード
第23回
エントリー作品詳細
NO.046
Akemiさん
作品名 Friends' Bavaliya
作品についてのコメント
インド・グジャラート州カッチなどに伝わる「バワリヤ」という刺繍技法があります。格子状に渡した土台の糸へ、編み糸を絡めながら模様をつくっていくため、表には立体的な色と形があらわれる一方で、裏側にはほとんど糸が出ません。
今回は、そのバワリヤ刺繍を中心に、一部ミラー刺繍も加えて仕上げました。
この作品を作り始めたのは、少し気持ちが落ち込んでいた時期でした。ひとりで色を決めるのではなく、友達にそれぞれ好きな糸を選んでもらったら、その人の気配や気持ちをひとつずつ縫い込めるような気がしました。
選んでもらった色で、小さなモチーフをひとつずつ刺していく。そうして増えていった模様は、いつの間にか、友達から受け取ったものを集めたような一枚になりました。
手仕事は基本的にはひとりでするものですが、この布の上には、ひとりでは選ばなかった色がいくつもあります。そんなふうに、誰かの気配をそばに置いておくための刺繍でもあります。
画材
インドやフランスなどの刺繍糸、ミラー
プロフィール
図書館情報学が専門の大学教員です。刺繍が好きです。インド刺繍、パレスチナ刺繍、ダーニングなど、土地や文化と結びついた技法に惹かれます。日々の記憶や、人から受け取ったものを、色や糸に置き換えて残しています。
苦労した点やアピールポイントなど
ポケット部分やバッグの端など、刺繍枠をはめることができない場所は、布を安定させながら針を通すのが難しく、とても苦労しました。特に端のモチーフは、バッグそのものの形や厚みを避けながら縫う必要があり、少しずつ向きを変えながら仕上げています。
表面には、90個のバワリヤ刺繍を施しました。同じ技法・同じ形のモチーフでも、糸の色や組み合わせがすべて少しずつ異なるため、ひとつひとつ表情が異なります。全体を見たときに色が偏りすぎないよう、すでに刺したモチーフとのバランスを見ながら友達の指定した色を配置していった点も工夫したところです。友人たちから受け取った気持ちがひとつずつ並んでいるような作品になりました。
また、裏面にはミラー刺繍を加え、糸だけでは出せない光の反射がアクセントになるようにしました。近くで見るとそれぞれの細かな違いを楽しめ、離れて見ると色と模様が散りばめられた一つの作品として見えるよう意識しています。
一番苦労したのは、毎日持ち歩いて刺繍をするためだんだん薄汚れてくることです。洗うのも刺繍が傷みそうでできず、そのままにしています。つぎは黒いトートバッグがあればまたやりたいと思っています。